少子高齢化による労働人口の減少や働き方改革などの影響によって、多くの企業で業務の自動化を検討しています。
業務の自動化を行うことで業務の効率化やコストの削減などが期待できますが、どのように進めればいいのか分からない担当者も少なくありません。
そこで本記事では、業務の自動化による基礎知識や代表的な3つの手法・実際の進め方などについて解説します。 業務の自動化を検討している担当者は、ぜひ最後までご覧ください。
1.業務の自動化とは?
業務の自動化とは、これまで人間が手作業で行っていた業務をITの技術によって自動化させることです。
近年では、デジタル技術の発展により大手企業をはじめとする多くの企業がシステムやツールなどを活用して、業務の自動化を進めています。
業務の自動化によって業務の効率化を図ったり、コストを削減したりすることが主な目的です。
2.業務の自動化が注目されるようになった3つの理由
業務の自動化が注目されるようになった理由として挙げられるのが、以下の3つです。
- 労働人口の減少
- 働き方改革
- BPRの実施
順番に解説します。
2-1.労働人口の減少
日本では、現在も少子高齢化問題が深刻化しており、「2050年までの経済社会の 構造変化と政策課題について」によると、2050年には日本の人口が約1億人まで減少するといわれています。
その結果、労働人口も減少していくので、現在の業務内容や業務プロセスでは通用しなくなります。
現状を改善するためにも、業務の自動化を検討する企業が増えてきました。
2-2.働き方改革
出生率の向上や長時間労働の解消などを目的として、政府は2019年4月1日より、「働き方改革関連法」を施行しました。
36協定に時間外労働の上限規制が導入されたことで、これまでのような長時間労働ができなくなりました。
長時間労働によって存続できていた企業も少なくありません。
これまでのような業務量をこなすためには効率化が必要となってくるため、業務の自動化が注目を集めているのです。
2-3.BPRの実施
最近では、BPRを実施する企業も増えてきました。
BPRとは「Business Process Re-engineering」の略称であり、業務内容や業務フロー・組織の構造などを根本的に見直す業務改革のことです。
1990年代に元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマー氏と、経営コンサ
ルタントのジェイムス・チャンピー氏の2名が不況を脱却するために提唱した施策です。
BPRでは、業務内容や業務フローにおける問題点を洗い出して改善する必要があります。
その改善策の一つとして挙げられるのが、業務の自動化です。
そのため、BPRの実施を検討している企業の多くは、業務の自動化に注目しています。
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3.業務の自動化によるメリット
業務の自動化によるメリットは、以下の3つです。
- 業務の効率化が期待できる
- コストの削減につながる
- 人為的ミスが発生しにくくなる
一つずつ解説します。
3-1.業務の効率化が期待できる
業務の自動化によって、これまで手作業で行っていた業務をシステムやツールが代わりに行ってくれるようになります。
その分のリソースをほかの業務に充てることができるので、業務の効率化が期待できます。
3-2.コストの削減につながる
経営状況の悪化により、残業代や人件費を少しでも抑えたいと考える企業は少なくありません。
業務の自動化を行うことでシステムやツールなどを導入する必要があるので初期費用がかかりますが、業務時間の短縮や業務にあたる人員を削減できます。
そのため、トータルでのコストカットが可能です。
3-3.人為的ミスが発生しにくくなる
十分に気をつけていたとしても、人が業務を行う場合にはヒューマンエラーが発生してしまいます。
しかし、業務の自動化によってシステムやツールが代わりに業務を行ってくれるようになるため、ヒューマンエラーが発生しなくなり、業務クオリティの向上につながるのです。
4.業務の自動化によるデメリット
業務の自動化はメリットだけではなく、デメリットもあります。
主なデメリットは以下の3つです。
- 体制を整えるまで時間がかかる
- 不具合やエラーが発生すると業務がストップしてしまう
- 業務のブラックボックス化が発生する恐れがある
順番に解説します。
4-1.体制を整えるまで時間がかかる
業務の自動化を行うためには、システムやツールを導入しなければいけません。
システムやツールの使い方を覚えたり、対象となる業務範囲を設定したりする必要があるので、業務の自動化を行うまでの体制を構築するのに時間がかかります。
4-2.不具合やエラーが発生すると業務がストップしてしまう
システムやツールが不具合やエラーを起こしてしまい、業務がストップすることも珍しくありません。
軽微な不具合やエラーであれば問題ありませんが、復旧するまでに時間がかかる場合には甚大な損失となる可能性があるので、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。
4-3.業務のブラックボックス化が発生する恐れがある
業務の自動化によって、従業員は次第に介入しなくなります。
その結果、業務のブラックボックス化が発生する恐れがあるのです。
ブラックボックス化が進行してしまうと、トラブルや問題が発生したときに対応できる従業員がいないという状況に陥ってしまうので、注意しましょう。
5.業務の自動化を進めるための代表的な3つの手法
業務の自動化を進めるための代表的な手法として、以下の3つが挙げられます。
- RPA
- マクロ
- AI
一つずつ解説します。
5-1.RPA
RPAとは「Robotic Process Automation」の略称であり、人間がこれまでPC上で行っていた業務を自動化する施策のことです。
自動化したい業務内容や手順などをあらかじめ指示することによって、その通りにシステムが動いてくれるので、業務の効率化やヒューマンエラーの防止につながります。
ただし、AIのように学習能力があるわけではないので、判断が必要な作業には不向きです。
なお、RPA内にAIを組み込む場合は別です。実際にAIを組み込んだ高度なRPAツールも存在します。
基本的には、RPAはあらかじめ設定したルールに基づいて作業を行うのに対して、AIは人工知能ですから自らの判断で作業を進められます。
5-2.マクロ
マクロとは、Excelによる作業を自動化できる機能です。
マクロを活用することで、Excelによる作業の大幅な時間短縮が可能です。
しかし、マクロはプログラミング言語であるVBA(Visual Basic for Applications)によって書かれています。
そのため、マクロを活用するためには、VBAについての知識やスキルを習得しなければいけません。
5-3.AI
業務の自動化をする上で、チャットボットやデータ分析などのAIを導入する企業も増えてきています。
AIは、自己学習機能を備えているので、これまで蓄積したデータを用いて状況に応じた判断が行えます。
そのため、営業や人事・ユーザーからの問い合わせ対応など、さまざまな業務で活用可能です。
ただし、導入時はデータを蓄積するまで時間がかかるので、注意しましょう。
6.業務の自動化におすすめのシステムやツール3選
業務の自動化を行う上で、おすすめのシステムやツールは以下の3つです。
- アシロボ|株式会社アイネット
- BizRobo!|RPAテクノロジーズ株式会社
- ipaSロボ|株式会社デリバリーコンサルティング
順番に解説します。
6-1.アシロボ|株式会社アイネット
株式会社アイネットが提供しているアシロボは、月額5万円で導入できるRPAサービスです。
一つの契約でパソコン2台分まで使用できるようになっており、操作する画面は3画面のみと非常に分かりやすいのが特徴です。
1ヵ月間は無料でお試しできるトライアルも実施しているので、気になる方は申し込みしてみましょう。
6-2.BizRobo!|RPAテクノロジーズ株式会社
RPAテクノロジーズ株式会社が提供しているBizRobo!は、複雑なコードを書く必要がなく、誰でも簡単に使えるRPAツールです。
プランは全3種類あるため、事業内容や導入規模に応じてスモールスタートも可能です。
MicrosoftやGoogleなどのアプリケーションとも連携ができるので、さまざまな業務の自動化を達成できるでしょう。
6-3.ipaSロボ|株式会社デリバリーコンサルティング
株式会社デリバリーコンサルティングが提供しているipaSロボは、直感的な操作が可能なため、プログラミング未経験者でも操作可能なRPAツールです。
専任の講師によるオンライントレーニングが無料で受講できるため、操作スキルの向上が期待できます。
そのほかにも、さまざまなサポート体制を確立しているので、初めてRPAツールを導入する企業におすすめです。
7.業務の自動化を進めるための7つのステップ
業務の自動化は、以下の7ステップで進めていきます。
- 業務の自動化を行う目標を明確に決める
- 自動化する対象業務を選定する
- 業務を自動化するための手法を選ぶ
- スモールスタートしてみる
- スモールスタートした結果を基に課題点を洗い出す
- 本格的に業務の自動化を行う
- PDCAを回す
一つずつ解説します。
7-1.業務の自動化を行う目標を明確に決める
業務の自動化によって業務の効率化やコストの削減などが期待できます。
しかし、目標を曖昧に設定してしまうと、業務の自動化を実施する前と実施した後で具体的にどこが変化したのか、把握できない可能性があります。
そのため、業務の自動化を進める前に数値を用いて明確な目標を決めておきましょう。
7-2.自動化する対象業務を選定する
自動化の対象となる業務を選定します。
ただし、自動化するのが困難な業務もあるので、以下3つの基準を目安に選定するのがおすすめです。
- データ化されているか
- 簡易的な業務であるか
- 明確なルールが定められているか
7-3.業務を自動化するための手法を選ぶ
業務を自動化するための手法を選びます。
主な手法は、前項でご紹介した以下の3種類です。
- RPA
- マクロ
- AI
手法によって自動化できる業務や導入コストなどが大きく異なるため、それぞれの特徴を把握した上で自分たちに合った手法を選びましょう。
7-4.スモールスタートしてみる
対象となる業務範囲や手法などが決まったら、実際に業務の自動化を行ってみましょう。
ただし、すべての業務をいきなり自動化してしまうと従業員の負担が大きくなり、失敗する可能性が高くなります。
そのため、まずはスモールスタートを意識して取り組むことが大切です。
7-5.スモールスタートした結果を基に課題点を洗い出す
スモールスタートした結果、どのような課題点があったのかを洗い出します。
「手法が自分たちと合わなかった」「自動化の対象となる業務範囲が広かった」など、企業によって課題点が異なるので、どのように解決すればいいのか対策を考えましょう。
7-6.本格的に業務の自動化を行う
スモールスタートでの反省点を生かして、本格的に業務の自動化を行います。
業務の自動化を進めている最中に問題が発生した場合には、連携を図りながら柔軟に対応していきましょう。
業務の自動化がうまくいくのか不安であれば、事前にマニュアルを作成しておくのもおすすめです。
7-7.PDCAを回す
業務の自動化は、体制を整えるまで時間がかかります。
そのため、定期的にチェックしながら軌道に乗るまでPDCAを回しましょう。
8.まとめ
本記事では、業務の自動化による基礎知識や代表的な3つの手法・実際の進め方などについて解説しました。
業務の自動化を行うことで、業務の効率化やコストの削減などが期待できます。
ただし、体制を整えるまで時間がかかったり業務のブラックボックス化が発生したりする可能性もあるので、注意が必要です。
本記事を参考に、自分たちに合った手法を選んで業務の自動化を成功させましょう。
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