BPRを実施する3つの目的や進め方・手法およびサービスについて解説!

経営状況を改善するにあたって、会社全体における業務プロセスを一から根本的に見直すBPRに注目する企業が増えてきました。

BPRという言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのような意味や目的で実施するのか、あまり理解していない担当者も多いはずです。

そこで本記事では、BPRの基本知識や実施する目的・実施するための方法などについて解説します。 これからBPRの実施を検討している担当者は、ぜひ最後までご覧ください。

1.BPRとは?誕生した経緯について

BPRとは「Business Process Re-engineering」の略称であり、既存の業務内容や業務フロー・組織の構造などを一から根本的に見直して再構築することです。

業務改革とも呼ばれており、1990年代に元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマー氏と、経営コンサルタントのジェイムス・チャンピー氏の2名が不景気の状況を打開するための施策として提唱しました。

1993年には「リエンジニアリング革命」が出版されたことがきっかけで、全世界にBPRという考え方が広まりました。

BPRと似ている言葉として業務改善があります。

どちらも改善するという意味では同じですが、業務改善はあくまでも既存の業務プロセスを残した状態です。

一方のBPRは、業務プロセスそのものを一から見直して改善します。

改善する範囲が異なるので、間違えないように注意しましょう。

1-1.BPRが現代社会において必要な理由

BPRは、1993年に出版された「リエンジニアリング革命」によって日本でも普及しました。

ところが、当時はバブル崩壊直後ということもあり、リストラを助長させてしまう大きな要因となってしまい、BPRの実施は決して成功とはいえないような結果となっています。

その後、BPRという言葉そのものが使われることが少なくなりましたが、近年では少子高齢化による労働人口不足が大きな問題となってきています。

また、2020年から流行した新型コロナウイルス感染症の影響によって、多くの企業で経済的大打撃を受けました。

その結果、これまでの業務プロセスでは存続するのが難しいと判断した企業が続出したため、企業全体を一から根本的に見直して再構築するBPRという考え方が再び注目を浴びるようになったのです。

2.BPRを実施する3つの目的

BPRを実施する目的は、以下の3つです。

  • 生産性の向上に期待できる
  • コストの削減につながる
  • 従業員満足度や顧客満足度が向上する

順番に解説します。

2-1.生産性の向上に期待できる

BPRは、既存の業務内容や業務フロー・組織の構造などを一から根本的に見直すため、課題となっている部分を洗い出せます。

課題となっている部分を改善することによって、これまで以上に業務がスムーズになるため、生産性の向上に期待できるのです。

2-2.コストの削減につながる

BPRを実施する際には、新たなシステムやサービスを導入することも珍しくありません。

新たなシステムやサービスを導入することで、業務内容や業務フローが改善されます。

もちろん、導入するための初期費用やランニングコストなどはかかりますが、労働時間が短縮されて不要な業務が減るため、長期的に考えると人件費や残業代などのコスト削減につながるのです。

2-3.従業員満足度や顧客満足度が向上する

BPRの実施に伴い新たなシステムやサービスが導入されることで、労働時間の短縮や不要な業務の削減によって職場環境が改善されます。

その結果、仕事に対する従業員のモチベーションが高まるため、さらにクオリティの高い商品やサービスの提供につながり、従業員満足度だけでなく顧客満足度の向上にも期待できるのです。

3.BPRを定義する上で欠かせない4つのキーワード

BPRを定義する上で欠かせないキーワードは以下の4つです。

  • 根本的
  • 抜本的
  • 劇的
  • プロセス

一つずつ解説します。

3-1.根本的

「根本的」とは、BPRを実施していくなかで「なぜそれを行うのか」問いかけることです。

目的や目標がないままBPRを実施しても成功しません。

そのため、実施する意味を根本的に見つめ直すことが大切です。

3-2.抜本的

「抜本的」とは、古くなってきた要素を思い切って捨てることです。

歴史ある企業の場合、創業当初からのルールを現在でも引き継いでいることも珍しくありません。

時代は常に変わっていくので、不要だと感じたら、切り捨てることが重要です。

3-3.劇的

「劇的」とは、大きく改善することを指します。

改善する規模が大きいほど、その分の成果に期待できます。

3-4.プロセス

「プロセス」とは、さまざまな要素を取り込むことでユーザーに価値を与えることです。

BPRでは、業務プロセス全体を一から見直していくので、複数の要素を取り入れることが重要です。

4.BPRを実施するための5つのステップ

BPRを実施するための進め方は、以下5つのステップとなります。

1. 検討
2. 分析
3. 設計
4. 実施
5. モニタリング・評価

順番に見ていきましょう。

4-1.検討

最初の検討段階では、上層部を中心にBPRを実施する上での具体的な目的や目標を設定します。

また、従業員が混乱しないよう、対象となる業務範囲についても決めていきます。

自分たちだけでBPRを実施するのが不安だと感じる場合には、コンサルタントの活用も検討しましょう。

4-2.分析

分析段階では、業務内容や業務フロー・組織の構造などの業務プロセスにおいて問題点となる部分を洗い出します。

問題点が複数ある場合には、優先順位をつけてなるべく重要度の高い問題点に時間をかけましょう。

分析手法としておすすめなのが、ABC分析とBSC分析です。

  • ABC分析:売上高やコスト・在庫などの項目に対して優先度を決めて管理するフ
    レームワーク

  • BSC分析:財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の 4 つの視点から業績を評価
    するフレームワーク

そのほかにもさまざまな手法があるので、自分たちの状況に合わせて最適な手法を選びましょう。

4-3.設計

設計段階では、洗い出した問題点となる部分をどのように改善していくのか、戦略を練っていきます。

BPRは、全従業員の協力が必要不可欠です。

そのため、上層部の意見だけではなく現場の状況をよく知っている従業員の意見も取り入れましょう。

全員が納得できるような戦略を立てることが重要です。

4-4.実施

実際にBPRを実施していきます。

BPRは非常に時間がかかるため、従業員のモチベーションを維持するためにも短期的な目標をいくつも設定することが大切です。

実施している最中にリソースが逼迫してきた場合には、アウトソーシングやBPOなどの活用も検討してみましょう。

4-5.モニタリング・評価

実施したBPRのモニタリングを行い、評価していきます。

評価する際には、主に以下の3つの内容を中心に見ていきましょう。

  • スケジュール通りに進行しているか
  • 問題やイレギュラーな事態は発生していないか
  • どれくらいの成果や効果があったか

定期的にモニタリングすることが重要です。

5.BPRを実施する上でおすすめの手法やサービス5選

BPRは時間がかかるため、少しでも効率的に実施していきたいという担当者も少なくありません。

そんなときには、手法やサービスを活用することが大切です。

厳選したおすすめの手法やサービスは、以下の5つです。

  • BPO
  • ERP
  • シェアードサービス
  • iGrafx/BPR +|株式会社サン・プラニング・システムズ
  • BPEC|株式会社 TMJ

順番に解説します。

5-1.BPO

BPOとは「Business Process Outsourcing」の略称であり、自社の業務を一括して外部の専門業者へ委託することです。

BPOを活用することで、自分たちの業務を削減できるので、これまでの人的リソースを別の業務に充てることが可能です。

また、専門分野におけるプロフェッショナル集団のため、業務クオリティの向上にも期待できます。

BPOと似ている意味として活用されるのがアウトソーシングです。

アウトソーシングは、専門的なスキルや知識が伴う専門的な業務を依頼することはできず、基本的に単一業務のみの依頼となります。

依頼できる業務内容が異なるので、それぞれの言葉の意味を間違えないように注意しましょう。

5-2.ERP

ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略称で、 以下のような業務の情報を一元化したシステムです。

  • 会計業務
  • 人事業務
  • 生産業務
  • 物流業務
  • 販売業務

情報を一元管理することで、正確な情報を瞬時に把握できるようになるため、業務の効率化に期待できます。

ERPは、以下の2つの形式に分かれています。

  • クラウド型ERP:インターネット上にシステムを構築する
  • オンプレミス型ERP:自分たちのサーバーにシステムを構築する

それぞれメリット・デメリットがあるので、自分たちに合った形式を選びましょう。

5-3.シェアードサービス

シェアードサービスもBPRを実施する上で非常に効果的です。

シェアードサービスとは、複数のグループによって構成された以下のような業務を一つに集約させる手法です。

  • 財務・経理業務
  • 総務・人事業務
  • 情報システム業務
  • 物流業務
  • 法務業務
  • 監査業務

上記のようなさまざまな業務を一つに集約させることで、企業における組織体制の強化や業務クオリティの向上などに期待できます。

ただし、シェアードサービスは運用するまで組織体制を構築する必要があるため、時間がかかります。

また、グループを持つ大手企業しか実施できませんので、注意しましょう。

5-4.iGrafx/BPR +|株式会社サン・プラニング・システムズ

株式会社サン・プラニング・システムズでは、業務プロセスを可視化できるツールiGrafx/BPR +を提供しています。

業務に関連するさまざまな情報をあらかじめ用意された図形に埋め込むことによって、視覚的に分かりやすくなります。

「業務の可視化を行いたい」「業務効率化を進めたい」という企業におすすめです。

5-5.BPEC|株式会社 TMJ

株式会社TMJでは、業務量調査・分析パッケージを提供しています。

BPECを活用することで、短期間でありながら低コストで業務量や業務プロセス・業務フローなどを調査し、課題点の発見や優先順位の設定などが可能です。

そのほかにも改善策の提案や実行・効果検証・外部リソースの活用など、トータルでサポートしてくれるので、初めてBPRを実施する企業におすすめです。

6.まとめ

本記事では、BPRの基本知識や実施する目的・実施するための方法などについて解説しました。

少子高齢化による労働人口不足や新型コロナウイルス感染症などの影響から、BPRを実施する企業が増えてきています。

BPRを実施する目的として、生産性の向上やコストの削減などに期待できるため、本記事を参考にBPRの実施を検討してみましょう。

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