コストカットを実施したい担当者必見!成功した事例7選をピックアップ!

業務の効率化や従業員のモチベーションを向上させる目的として、コストカットを実施する企業が増えてきています。

しかし、コストカットする手順について理解していない担当者も少なくありません。

また、どのような方法でコストカットを実施しているのか、実際の事例について知りたい担当者も多いはずです。

そこで本記事では、コストカットを実施する方法や手順・実際の成功事例などについて解説します。 これからコストカットの実施を検討している企業の担当者は、ぜひ最後までご覧ください。

1.コストカットとは?コストダウンとの違い

コストカットとは、経営層が主導しながら自社にとって不要な費用や経費を削減することを指します。

従業員を雇用するための人件費やオフィスを利用するためのオフィスコストなど、企業ではさまざまなコストがかかります。

それらのコストをカットすることで、業務の効率化が図れたり従業員のモチベーションを向上させたりするなどの効果が期待できるのです。

また、コストカットと似ている言葉としてコストダウンがあります。

コストダウンとは、現場レベルで変動費を見直すなど経費削減を図ることです。

コストを削減するという意味では同じですが、コストカットと比較して対象となる範囲が狭く、トップダウン・ボトムアップなど方針の決め方に若干の違いがあるため、意味を履き違えないように注意しましょう。

ただ、厳密には区別されていないこともあるため、頭の片隅に入れる程度で問題ありません。

コストカットとは?種類や得られる効果・実施方法についてご紹介!

2.企業にかかる主な4つのコスト

企業にかかるコストとして、主に4つあります。

  • 人件費
  • 採用コスト
  • オフィスコスト
  • IT機器関連コスト

それぞれのコストについて順番に解説します。

2-1.人件費

人件費とは、従業員を雇用するためにかかるコストのことです。

コストのなかでも多くの割合を占めており、大きく分けて「現物給与総額」と「現物給与以外」の2種類があります。

  • 現物給与総額:所定内賃金や所定外賃金・賞与・一時金など
  • 現物給与以外:退職金費用や法定福利費・人材採用費など

現物給与総額における所定内賃金や所定外賃金とは、残業や休日出勤などを行った際に支払われる賃金です。

また、現物給与以外での法定福利費では、社会保険料や労働保険料などが該当します。

2-2.採用コスト

採用コストとは、会社が正社員や契約社員・アルバイトなどを採用した際に発生するコストのことです。

採用コストは、「内部コスト」と「外部コスト」の2種類があります。

  • 内部コスト:採用活動を社内で行った際に発生するコスト
  • 外部コスト:採用活動を社外で行った際に発生するコスト

採用担当者における人件費やリファラル採用などが内部コストに該当します。

一方の外部コストは、合同会社説明会への出展費用や求人媒体への掲載費・採用動画制作における外注費用などが含まれます。

従業員を1人雇用するだけでも採用コストがかかるので、早期離職を防ぐためにも人材の育成に注力する企業が増えてきました。

2-3.オフィスコスト

オフィスコストとは、オフィスを利用する際に発生するコストです。

オフィスの賃料だけでなく光熱費も含まれるので、従業員が多いほどオフィスコストがかかります。

しかし、新型コロナウイルス感染症が流行したことで、多くの企業でテレワークを推進するようになりました。

その結果、オフィスがなくても業務が回るということに気づき、最近ではフルリモートワークに切り替えることでオフィスを持たないという企業も少なくありません。

2-4.IT機器関連コスト

IT機器関連コストとは、パソコンやタブレットを購入する際に発生するコストです。

パソコンやタブレットは非常に高価なため、企業にとっての負担も増加します。

そのため、少しでも負担を軽減するために、レンタルやリース契約などを検討している企業も増えています。

3.コストカットを進める具体的な3つの方法

コストカットを進める具体的な方法として、以下の3つが挙げられます。

  • 職場環境を改善する
  • 業務を自動化する
  • テレワークを推進する

一つずつ解説します。

3-1.職場環境を改善する

従業員1人を採用するだけでも、企業にとっては大きなコストがかかります。

就職みらい研究所が発表した「就職白書2020」によると、1人あたりの採用コストは新卒採用で93.6万円、中途採用であれば103.3万円かかることが判明しました。(就職白書2020」の11ページ目を参照)

少子高齢化による労働人口の減少によって、採用コストは年々増加傾向にあります。

そのため、従業員が働きやすい職場環境に改善して離職率を低下させることで、採用コストのカットにつながるのです。

3-2.業務を自動化する

人件費は、コストのなかでも大きな割合を占めるので、少しでも削減したいと考える企業も少なくありません。

システムやツールを導入することで、一部の業務を自動化できます。

その結果、残業時間の短縮や業務にあたる人員の削減にもつながるので、大幅なコストカットが可能です。

業務の自動化によるメリットやデメリット・進め方などについて解説!

3-3.テレワークを推進する

オフィスコストは毎月固定でかかるので、負担に感じる企業も多いはずです。

そこでテレワークを推進することで、オフィスにおける水道代や電気代などを抑えられるだけでなく、毎月支給する交通費もカットできます。

最終的にはフルリモートワークにすることで、オフィスコストそのものを削減することも可能です。

ただし、リモートワークの導入にあたっては、業態や業務内容によって向き・不向きがあるため、慎重な見極めが必要です。

4.コストカットを実施するための4つの手順

コストカットは、以下の4つの手順で実施できます。

  1. 現状のコスト状況を把握する
  2. コストカットを実施する上での明確な目標や計画を決める
  3. 優先順位を決めてコストカットを実施する
  4. 分析・評価しながら改善していく


順番に解説します。

4-1.現状のコスト状況を把握する

コストカットを実施する上で、どのようなコストがどれくらいカットできるのか、把握しておく必要があります。

そのため、まずは現在のコスト状況を分析しましょう。

4-2.コストカットを実施する上での明確な目標や計画を決める

コストカットを実施することで、業務の効率化や利益の向上など、さまざまな効果が期待できます。

しかし、企業によってコストカットを実施する動機が異なるので、目標を決めましょう。

従業員のモチベーションを維持するためにも、目標は抽象的ではなく具体的に設定することが大切です。

目標に合わせて実施方法や実施する期間などの計画も決めていきます。

4-3.優先順位を決めてコストカットを実施する

コストカットを実施します。

コストカットを効率的に進めるためには、洗い出したコスト状況から、よりコストが高い項目に優先順位をつけて実施する必要があります。

優先順位の決め方における一例は、以下の通りです。

施策優先度項目
即実行でき、期待される効果が高いIT機器関連コストやオフィスコスト。例えば、コピー代やタブレット費用など
即実行でき、多少の効果が見込まれる光熱費をはじめとするエネルギーコストなど
すぐに実行できないが、効果は高い人件費や採用コストなど

まずは即実行でき期待される効果が高い項目から、順次コストカットを進めます。

コストカットの効果が高いからといって、優先順位を繰り上げ、人件費や採用コストをカットしてしまうと、労働環境や生産性の悪化から、離職率の上昇につながる恐れがあります。

まずはカットしやすい、オフィスコストやIT機器関連コストから着手してみてください。

コストカットの方法によっては、完了するまで時間がかかるため、短期的な目標をいくつも設定しましょう。

また、コストは不要なコストと必要なコストの2種類に分かれているので、間違えないように注意しましょう。

4-4.分析・評価しながら改善していく

コストカットの結果を確認しながら、分析・評価していきます。

目標に届かなかった場合には、どこが悪かったのか問題を抽出して改善に努めましょう。

常にPDCAを回すことが重要です。

5.コストカットを成功させるための3つのポイント

コストカットを成功させたいのであれば、以下の3つのポイントを意識しましょう。

  • 不要なコストだけをカットする
  • 過剰なコストカットは実施しない
  • 不安であればコンサルタントを活用する

一つずつ解説します。

5-1.不要なコストだけをカットする

コストには、不要なコストと必要なコストの2種類あります。

誤って必要なコストをカットしてしまった場合、業務クオリティや生産性の低下につながり、大きな損失を招く恐れがあるので、注意が必要です。

コストカットすることによって、どのようなメリット・デメリットがあるのかを考慮した上で慎重に判断しましょう。

5-2.過剰なコストカットは実施しない

オフィスのエアコンを禁止したり、従業員をリストラしたりするなどの過剰なコストカットは、従業員に不信感を与えてしまいます。

その結果、従業員からの協力を得られずにコストカットそのものが失敗してしまう可能性もあるので、従業員のことをしっかり考えた上で実施しましょう。

5-3.不安であればコンサルタントを活用する

コストカットは判断を誤ってしまうと失敗する可能性が高くなるので、実施するのが不安であれば、コンサルタントの活用を検討しましょう。

コンサルタントを活用することで、コストカットを効率的に実施できます。

コンサル会社へ依頼する際には、事前にこれまでの実績や費用などを必ず確認しておきましょう。

6.コストカットの成功事例7選をご紹介

コストカットに成功した事例は、以下の7つです。

  • 三井住友海上火災保険株式会社|働きやすく生産性の高い企業・職場表彰
  • 株式会社横井製作所|働きやすく生産性の高い企業・職場表彰
  • 株式会社丸井グループ|働きやすく生産性の高い企業・職場表彰
  • 株式会社Waris|働きやすく生産性の高い企業・職場表彰
  • 株式会社ビッグ・エー|株式会社スタディスト
  • 株式会社富士薬品|株式会社スタディスト
  • 株式会社Phone Appli|株式会社スタディスト

順番に解説します。

6-1.三井住友海上火災保険株式会社|働きやすく生産性の高い企業・職場表彰

損害保険業をメインにさまざまな業務を展開している三井住友海上火災保険株式会社では、生産性を向上させる目的としてRPAを導入しました。

RPAとは、「Robotic Process Automation」の略称であり、人間がパソコン上で行う業務を代わりに実施する施策のことです。

その結果、毎月1,200時間の残業時間を削減することに成功しました。

また、原則19時前に退社するルールを設けたり在宅勤務を推進したりするなど、働き方改革にも注力しているそうです。

残業時間を大幅にカットし、在宅勤務を推奨することで、オフィスコストを削減できると同時に、通勤手当なども見直せます。

今後は女性がさらに活躍するためにも、柔軟な勤務制度や女性管理職の育成にも積極的に取り組んでいるとのことです。

詳しい内容は「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の12ページご覧ください。

参考:三井住友海上火災保険株式会社|働きやすく生産性の高い企業・職場表彰

6-2.株式会社横井製作所|働きやすく生産性の高い企業・職場表彰

プラスチック製品の成形や販売事業を展開している株式会社横井製作所は、システムを導入したことで業務を自動化し、生産プロセスの効率化に成功しました。

従業員のモチベーションを向上させるために、生産プロセスの効率化によって生まれた利益の一部を還元して定期的に食事会を開催しているそうです。

また、社内託児所があるため女性でも働きやすい職場環境となっており、出産による離職者は5年間連続0人を記録しています。

働き方改革が、コストカットに直結する成功事例だといえるでしょう。

これからも若い従業員が安心して活躍できる会社にしていきたいとのことです。

詳細は「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の16ページにあります。

参考:株式会社横井製作所|働きやすく生産性の高い企業・職場表彰

6-3.株式会社丸井グループ|働きやすく生産性の高い企業・職場表彰

大型商業施設であるマルイの運営や管理をしている株式会社丸井グループでは、最大50通りの就業パターンによるシフトを用意することで、残業時間の削減に成功しました。

女性だけではなく男性にも育児休業の取得を推進しており、働きやすい職場づくりを目指しているとのことです。

また、インターンシップ制度も強化したことで、早期離職率の低下にもつながっているそうです。

詳しい内容は「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の24ページに記載されています。

参考:株式会社丸井グループ|働きやすく生産性の高い企業・職場表彰

6-4.株式会社Waris|働きやすく生産性の高い企業・職場表彰

ジョブマッチング事業やキャリアシフトプラットフォーム事業などを展開している株式会社Warisでは、一人ひとりに合った働き方が可能です。

具体的には、ほとんどの従業員がリモートワークのため、オフィスコストのカットに成功し、従業員同士がランチへ行く際に支給するコミュニケーションコストへ充てているとのことです。

今後は、誰もが自分のスタイルで働けるような職場環境を提供したいと語っています。

働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の46ページをご覧ください。

参考:株式会社Waris|働きやすく生産性の高い企業・職場表彰

6-5.株式会社ビッグ・エー|株式会社スタディスト

ハードディスカウントストアを運営している株式会社ビッグ・エーでは、新しい従業員が業務を行うにあたってのマニュアル作りに苦労していました。

しかし、マニュアルを作成する上で動画や写真が容易に挿入できる新たなシステムを導入した結果、情報の伝達がスムーズになり、新人研修にかかる時間を年間16,000時間削減することに成功したのです。

また、業務で分からないことがあってもシステムを活用して自分で調べられるようになったことで、離職率の低下にもつながっているとのことです。

参考:株式会社ビッグ・エー|株式会社スタディスト

6-6.株式会社富士薬品|株式会社スタディスト

医薬品の研究開発やドラッグストアなどを運営している株式会社富士薬品では、530種類のマニュアルが存在しています。

マニュアルがすべてA4用紙だったため、多くの従業員が使いづらいと不満の声を漏らしていました。

しかし、マニュアルをクラウド化できる新たなシステムを導入したことで、年間2,000万円のコストカットに成功しました。

利便性が大幅に向上し、以前よりも働きやすい環境となったことで、従業員満足度の向上にもつながっているとのことです。

参考:株式会社富士薬品|株式会社スタディスト

6-7.株式会社Phone Appli|株式会社スタディスト

コミュニケーションアプリの開発やサービスの提供を行っている株式会社Phone Appliでは、急激な従業員数の増加に伴い、業務の属人化やマニュアルの作成など、さまざまな問題を抱えていました。

現在の状況を少しでも改善するために、QRコードを読み取るだけで業務マニュアルがすぐに把握できるシステムを導入しました。

その結果、ほかの従業員に聞かなくても1人で業務を進められる環境が構築され、早期離職を防ぐオンボーディングの実現に成功したのです。

参考:株式会社Phone Appli|株式会社スタディスト

7.BPRの実施も検討しよう

コストカットだけでなく、BPRの実施も検討しましょう。

BPRとは「Business Process Re-engineering」の略称であり、業務内容や業務フローなど、企業全体における業務プロセスを根本的に見直す施策です。

1990年代のアメリカで、元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマー氏と、経営コンサルタントのジェイムス・チャンピー氏の2名が不況を脱却する目的で提唱しました。

コストカットは、BPRにおける施策の一環に過ぎません。そのため、BPRを実施することでさらなる効果が期待できます。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

BPRとは?目的やメリット・デメリットなどを分かりやすく解説!
BPRを実施する3つの目的や進め方・手法およびサービスについて解説!

8.まとめ

本記事では、コストカットを実施する方法や手順・実際の成功事例などについて解説しました。

企業では、人件費や採用コスト・オフィスコストなど、さまざまなコストがかかります。

そのため、職場環境を改善したり業務を自動化したりするなどの方法でコストカットを図りましょう。

ただし、必要なコストをカットしたり過剰なコストカットを実施したりすると、逆効果となる恐れがあるので、注意が必要です。

成功事例もご紹介しているので、本記事を参考にコストカットを実施してみてください。

BPRとBPOの違いとは?実施方法やおすすめの手法などについても解説!
DXとは?BPRとの違いやメリット・デメリット・推進方法などについて解説!
BPMとBPRの3つの違いや実施するメリット・実施方法などについて解説!
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