新型コロナウイルス感染症の影響によって、多くの企業でリモートワークを推進するようになりました。
その結果、オフィスに出社する機会が減少しているため、現在ではオフィスコストを削減する動きが見られています。
しかし、オフィスコストについて詳しく理解していない担当者も少なくありません。
また、オフィスコストを削減する方法について知りたい担当者も多いはずです。 そこで本記事では、オフィスコストを削減するメリットや方法・実際の手順などについて解説します。
1.オフィスコストとは?
オフィスコストとは、オフィスを利用する上でかかるコストのことです。企業では、人件費や採用コスト・IT機器関連コストなどが毎月かかります。そのなかでもオフィスコストは、オフィスを利用するための賃料や水道光熱費・OA機器などが該当します。
しかし、新型コロナウイルス感染症が流行したことで、リモートワークを推進する企業が増えてきました。
その結果、オフィスを利用する機会が徐々に減りつつあるため、多くの企業でオフィスコストの削減を検討しています。
また、オフィスコストの削減だけでなく、BPRという施策も注目を集めています。 BPRとは「Business Process Re-engineering」の略称であり、業務内容や業務フローなどを根本的に見直す業務改革のことです。
1990年代のアメリカにおいて、元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマー氏と、経営コンサルタントのジェイムス・チャンピー氏の2名が不況を脱却する目的で提唱されました。
詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>BPRとは?目的やメリット・デメリットなどを分かりやすく解説!
2.オフィスコストは全部で5種類
オフィスコストは、全部で以下の5種類です。
- オフィス賃料
- ITコスト
- エネルギーコスト
- 消耗品コスト
- レイアウトコスト
一つずつ解説します。
2-1.オフィス賃料
オフィス賃料は、広さや建物の場所などによって大きく異なります。そのため、企業によって費用はピンキリです。
オフィスコストのなかでも大きな割合を占めるため、オフィス賃料を削減することで高い効果が期待できます。
2-2.ITコスト
ITコストとは、業務で利用するパソコンやスマートフォン・ソフトウェアなどにかかる費用のことです。インターネット環境を利用するための通信費もITコストに含まれます。
業態や業種によっては、ITコストを削減してしまうと業務が成り立たなくなるというケースも少なくありません。
2-3.エネルギーコスト
エネルギーコストとは、電気代や水道代などインフラの周りにおいてかかるコストのことです。エネルギーコストのなかでも、特に電気代が大きな割合を占めているという企業がほとんどです。
しかし、エネルギーコストはほかのオフィスコストと比較して従業員一人ひとりの意識を少し変えるだけで削減できます。
そのため、オフィスコストのなかでも一番削減しやすいコストといえるでしょう。
2-4.消耗品コスト
消耗品コストとは、コピー用紙や文房具などの主に事務用品を購入する際にかかるコストのことです。
単体ではあまりコストがかからないように思われますが、企業全体で考えるとほかのオフィスコストと同じくらい負担になるので、決して侮ってはいけません。
2-5.レイアウトコスト
レイアウトコストとは、オフィスの内装工事をしたりオフィス家具を購入したりする際にかかるコストのことです。
レイアウトコストが発生する頻度は多くありません。しかし、一回あたりにかかるコストは大きいのが特徴です。
3.オフィスコストを削減する3つのメリット
オフィスコストを削減するメリットは以下の3つです。
- 利益の増加につながる
- 業務の効率化が期待できる
- 従業員のモチベーションが向上する
一つずつ解説します。
3-1.利益の増加につながる
企業の利益を算出するための計算式は以下の通りです。
企業の利益 = 売り上げ – コスト
企業の利益を伸ばすためには、売り上げを伸ばすか、コストを下げるかのどちらかになります。つまり、オフィスコストを削減することで利益の増加につながるのです。
3-2.業務の効率化が期待できる
古くからの文化や習慣を重んじている企業の場合、すべての情報を書面で管理しているケースも珍しくありません。
しかし、オフィスコストの削減に伴い新たなツールやシステムを導入することで、オンライン上で情報を管理できるようになります。
その結果、ペーパーレス化が進み迅速に従業員同士で情報を共有できるようになるため、業務の効率化が期待できるのです。
3-3.従業員のモチベーションが向上する
オフィスコストを削減することで、無駄なコストが減り業務の効率化につながるため、増益にも貢献します。
増益した利益の一部を従業員に還元することで、モチベーション向上も期待できるでしょう。
4.オフィスコストを削減する方法8選
オフィスコストを削減する具体的な方法として、以下の8つが挙げられます。
- 節電を心がける
- オフィスを移転する
- テレワークを導入する
- リースやレンタル契約に切り替える
- ペーパーレス化を推進する
- 耐久性に優れた家具を購入する
- 格安SIMにする
- IP電話に切り替える
順番に解説します。
4-1.節電を心がける
エネルギーコストのなかでも、特に電気代が負担となっている企業がほとんどです。そのため、使用しない機器の電源はこまめに消したりエコモードに設定したりするなどの節電を心がけましょう。
オフィスコストを削減する方法のなかでも一番容易にできるので、早速実施してみてください。
ただし節電を心がけるあまり、従業員のパフォーマンスが悪化してしまっては意味がありません。「お昼の休憩時のみ節電をする」「勤務時間を見直し節電時間を確保する」など、業務への影響が生じないように進めることが重要です。
4-2.オフィスを移転する
オフィスコストのなかで最も大きな割合を占めているのがオフィスの賃料です。そのため、オフィスコストを削減したいのであれば、オフィスを移転するのがおすすめです。
オフィスの賃料は、立地や広さ・築年数などによって大きく異なります。
現在のオフィスよりもグレードを下げるだけで、大幅なコストの削減につながります。
4-3.テレワークを導入する
新型コロナウイルス感染症の影響によって、テレワークを導入している企業も少なくありません。
テレワークを導入することで、オフィスを利用する機会は徐々に減り、エネルギーコストや消耗品コストの削減にもつながります。
また、従業員も自分の好きな場所で働けるため、ストレスの軽減や生産性の向上が期待できます。しかし、業種や業態によってテレワークを導入するのが難しい場合もあるので、慎重に検討しましょう。
4-4.リースやレンタル契約に切り替える
最新のパソコンやスマートフォンを購入する場合、一台につき数十万円ほどかかるため、リースやレンタル契約へ切り替えを検討しましょう。
リースやレンタル契約へ切り替えることで毎月の費用はかかりますが、初期費用を大幅に抑えられます。
故障した場合のメンテナンスも無償で受け付けてくれるので安心です。
4-5.ペーパーレス化を推進する
ペーパーレス化を推進することで、印刷代や用紙代がかからなくなります。
コスト削減の観点においてはそこまで大きな効果が期待できるわけではありませんが、情報の共有や管理が楽になるので、業務の効率化にもつながります。
4-6.耐久性に優れた家具を購入する
デスクや椅子のようなオフィス家具を購入する場合、価格だけを重視してしまうと耐久性が低く、すぐに壊れてしまう可能性があります。
その結果、再度購入する手間と費用が発生するので、オフィス家具は初期費用をかけてでも耐久性に優れた物を購入しましょう。
ただし、現在はオフィス家具のリースやレンタルなども普及していますので、短期的な契約を検討している場合は、購入ではなくリース/レンタルも選択肢の一つです。
4-7.格安SIMにする
大手通信キャリアは基本料金が高いので、ITコストを圧迫している可能性があります。
現在は、大手通信キャリアの半分以下の料金で利用できる格安SIMが普及しています。
大手通信キャリアから格安SIMに切り替えることで、大幅なオフィスコスト削減が期待できるでしょう。
4-8.IP電話に切り替える
固定電話を利用している場合には、IP電話への切り替えを検討しましょう。IP電話とは、インターネット回線を用いた電話のことです。
IP電話に切り替えることで、これまで利用していた固定電話と比較して基本料金や通話料金が安くなります。
また、時期によって事業者ごとにお得なキャンペーンを開催していることもあるので、さらに料金を抑えることが可能です。
5.オフィスコストを削減する手順
オフィスコストを削減する手順は以下の4ステップです。
- 現状分析を行う
- 明確な目標を設定する
- 優先順位を決める
- 自社に合ったコスト削減方法を実施する
順番に解説します。
5-1.現状分析を行う
オフィスコストを削減するにあたって、それぞれどのくらいのコストがかかっているのかを把握する必要があります。
そのためにも、まずは現状分析から行いましょう。
5-2.明確な目標を設定する
オフィスコストの削減を実施するためには、従業員の協力が必要不可欠です。
しかし、目標が設定されていないと、具体的にどのような施策を実行すればいいのか分からなくなり、失敗する恐れがあります。
オフィスコストの削減を成功させるためにも、「いつまでにどのくらいのコストを削減するのか」具体的な数値を用いて設定しましょう。
5-3.優先順位を決める
削減したいオフィスコストが複数ある場合には、必ず優先順位を決めましょう。
優先順位の参考例は以下の通りです。
施策 | 優先度 | 項目 |
すぐに実行でき、効果期待度が高い | 高 | ITコスト |
すぐに実行でき、ある程度の効果が期待できる | 中 | エネルギーコストや消耗品コスト |
すぐに実行できないが、効果期待度が高い | 低 | オフィス賃料やレイアウトコスト |
オフィスコストのなかでもITコストはすぐに実行に移すことが可能で、効果期待度も高い傾向です。
一方のオフィス賃料やレイアウトコストは、多くのリソースを割く必要があるので、削減するまでに時間がかかります。
上記の表を参考に、優先度が高いオフィスコストから削減していきましょう。
5-4.自社に合ったコスト削減方法を実施する
実際にオフィスコストを削減していきます。
前項でご紹介した通り、オフィスコストの削減方法は豊富にあるため、自社に合った方法を見つけて実施することがポイントです。
また、オフィスコストの削減は業務改革であるBPRの一環で行われるケースが多いので、なるべくセットで行いましょう。
6.オフィスコスト削減を成功させるための3つのポイント
オフィスコスト削減を成功させるためのポイントは、以下の3つです。
- 無理に削減しない
- 従業員の意見も考慮する
- コンサルティングの活用を検討する
一つずつ解説します。
6-1.無理に削減しない
少しでもオフィスコストを削減して、業務の効率化や利益の増加につなげたいと考える企業がほとんどです。
しかし、無理にオフィスコストを削減した結果、これまで提供していた商品やサービスのクオリティが損なわれてしまい、顧客満足度の低下につながる可能性もあります。
そのような事態を防ぐためにも、あくまでも可能な範囲でオフィスコストを削減しましょう。
6-2.従業員の意見も考慮する
オフィスコストを実施する上で、従業員一人ひとりの協力が必要不可欠です。
上層部の独断でオフィスコストの削減を実行してしまうと、従業員の負担が大きくなってしまい、不満の声が挙がる恐れがあります。
その結果、従業員との関係性が悪化する可能性があるので、オフィスコストの削減を成功させたいのであれば、従業員の意見も考慮した上で実施しましょう。
6-3.コンサルティングの活用を検討する
オフィスコストは、不要なコストと必要なコストの2種類に分かれています。
もし誤って必要なコストを削減してしまった場合、利益の減少や業務効率の低下を招いてしまいます。そのため、オフィスコストの削減を成功させたいのであれば、コンサルティングの活用も検討してみましょう。
コンサルティングを活用することで、専門知識を兼ね備えたプロが的確にアドバイスしてくれるため、スムーズにオフィスコストの削減を実施することが可能です。
7.まとめ
本記事では、オフィスコストを削減するメリットや方法・実際の手順などについて解説しました。
オフィスコストは大きく分けて全部で5種類あり、削減することで利益の増加や業務の効率化などが期待できます。
しかし、無理にオフィスコストを削減しようとすると、逆効果となる可能性があるので、従業員の意見を考慮した上で進めることが大切です。
本記事を参考にオフィスコストの削減を実施してみてください。