日本は、急激な円安や少子高齢化・新型コロナウイルス感染症の拡大など、さまざまな問題を抱えているため、先行きは不透明です。
業務を効率化し、生産性を向上させて自社を存続させるためにも、BPRの実施を検討する企業が増えてきました。
しかし、現在の日本においてBPRを実施した事例が少ないため、自社にノウハウが蓄積されておらず、コンサルタントを活用するか検討している企業も多いはずです。
コンサルタントを活用することで、どのような効果が得られるのか気になる担当者も少なくありません。
そこで本記事では、BPRを実施するにあたってコンサルタントを活用するメリットやデメリットを解説します。
またBPRコンサルタントの活用に伴うBPRの進め方・コンサルタントを選ぶときのポイントなどについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。これからBPRを実施するにあたって、コンサルタントを活用するか迷っている担当者は、ぜひ最後までご覧ください。
1.BPRにおけるコンサルタントの役割
コンサルタントは、BPRの実施をサポートするのが主な役割です。コンサルタントが兼ね備えている専門的なスキルやノウハウを企業に共有することによって、BPRの実施を成功に導きます。
BPR(Business Process Re-engineering)とは:
業務フローや業務内容・組織の構造などを一から見直して再設計すること。
BPRの実施方法やプロジェクトの進め方などは企業によって大きく異なるため、BPRにおけるコンサルタントの業務内容は一概にはいえません。
2.BPRにおいてコンサルタントの重要性が増している2つの理由
BPRを実施するにあたって、コンサルタントの重要性は増してきています。コンサルタントの重要性が増してきている理由は、以下の2つです。
- 人材が不足している
- 専門的なスキルやノウハウを持ち合わせていない
順番に解説します。
2-1.人材が不足している
BPRは、業務フローや業務内容・組織の構造などを根本的に一から見直すので、時間がかかります。また、主に上層部が先導してBPRを実施しますが、従業員にも手伝ってもらわなければいけません。
従業員は通常の業務と並行しなければいけないので、BPRを実施することで逆に長時間労働や職場環境が悪化することもあります。
そこでコンサルタントを活用することによって、不足しているリソースの穴埋めに期待できるのです。
2-2.専門的なスキルやノウハウを持ち合わせていない
BPRは、1990年代に元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマー博士と経営コンサルタントのジェイムス・チャンピー氏が発表した「リエンジニアリング革命」によって世界中から注目を浴びたことで、日本でも実施されるようになりました。
しかし、バブル崩壊の時期と重なったこともあり、最終的にはリストラを助長させてしまう要因につながったことで、しばらくは日本でBPRが浸透することはありませんでした。
その結果、現在に至るまで多くの企業ではBPRに関する専門的なスキルやノウハウを持ち合わせていないような状態です。
BPRは長期間におよぶ大規模な業務改革となるため、失敗を防ぐためにもコンサルタントを活用しようと検討する企業が増えてきています。
3.BPRを実施する上でコンサルタントを活用する3つのメリット
BPRを実施する上でコンサルタントを活用するメリットは、以下の3つです。
- 客観的な意見を取り入れられる
- 効率的にBPRを実施できる
- 成功確率が向上する
一つずつ解説します。
3-1.客観的な意見を取り入れられる
自分たちだけでBPRを実施しようとすると、どうしても主観的になってしまうため、正常な判断を下せないことも珍しくありません。
しかし、コンサルタントを活用することで、客観的な意見を取り入れられます。その結果、合理的な判断が可能となるのです。
3-2.効率的にBPRを実施できる
BPRは、会社全体における業務や組織などを根本的に見直すため、どうしても時間がかかります。時間に比例してコストもかかるため、少しでも早くBPRを完遂したいと考える担当者も多いはずです。
コンサルタントを活用することで、次々に正確な判断が下せるようになるため、効率的なBPRの実施につながるのです。
3-3.成功確率が向上する
BPRは専門的なスキルやノウハウがなくても実施できますが、途中で判断を誤ってしまうことも珍しくありません。BPRは実施するにあたって膨大な時間やコストがかかるので、失敗を避けたいと考える企業がほとんどのはずです。
コンサルタントはBPRに関する専門的なスキルやノウハウを兼ね備えているので、活用することによって自分たちで実施するよりも大幅に成功期待度が高まります。
4.BPRを実施する上でコンサルタントを活用する3つのデメリット
コンサルタントの活用は、メリットだけでなくデメリットもあります。主なデメリットは、以下の3つです。
- 費用がかかる
- BPRの知見が溜まりにくい
- 成功するという保証はない
順番に解説します。
4-1.費用がかかる
当然のことですが、BPRを実施する上でコンサルタントを活用する場合、費用がかかります。
BPRは、業務フローや業務内容・組織の構造など企業全体を一から見直して再設計する大規模なものとなるので、一般的なコンサルティングよりも費用が高い傾向があります。
そのため、コンサルタントを活用したいのであれば、あらかじめ予算を確保しておきましょう。コンサルティング会社によって費用は異なるので、複数社から見積もりを取って比較検討するのがおすすめです。
4-2.BPRの知見が溜まりにくい
コンサルタントを活用することで、自分たちで実施するよりもスムーズにBPRを推進できますが、知見が溜まりにくいというデメリットがあります。
そのため、再度BPRを実施する際に、次回もコンサルタントを活用しなければいけません。
コンサルタントにかかる費用は決して安いとはいえないので、なるべくコストを抑えてBPRを実施したいのでれば、内製化できる環境を整えておくことが大切です。
4-3.成功するという保証はない
BPRを実施する上でコンサルタントを活用しても、必ず成功するわけではありません。
なぜなら、BPRを成功するためのマニュアルやテンプレートなどはなく、企業の状況によって実施方法やプロセスが異なるからです。
あくまでもコンサルタントはサポーターです。 BPRを実施する上での主役は自分たちであることを忘れないようにしましょう。
5.コンサルタントの活用に伴うBPRの進め方
コンサルタントの活用に伴うBPRの進め方は、以下の5ステップです。
- 検討
- 分析
- 設計
- 実施
- モニタリング・評価
順番に解説します。
5-1.検討
最初の検討段階では、自社における問題点を洗い出して、BPRを実施する上で達成できそうな目的や目標をコンサルタントにアドバイスをもらいながら設定します。
また、BPRの対象となる業務範囲についても併せて決めましょう。
5-2.分析
分析段階では、具体的にどのような部分が自社の問題点なのかをさらに深掘りし、改善案を考えます。規模が大きく、緊急性の高い問題点になるべく時間をかけましょう。
分析する手法として、ABC分析とBSC分析がおすすめです。
- ABC分析:売上高やコスト・在庫などの項目に対して優先度を決めて管理するフレームワーク
- BSC分析:財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4つの視点から業績を評価するフレームワーク
コンサルタントと話し合いながら、自分たちに合った分析手法を選びましょう。
5-3.設計
設計段階では、分析して洗い出した問題点をどのように解決するのか、戦略を立てていきます。戦略が曖昧だと、認識の相違が生まれてしまい失敗する可能性が高くなるので、コンサルタントに相談しながら、なるべく具体的で現実的な戦略を立てましょう。
戦略を立てたら、全従業員に共有します。BPRは全従業員の協力がないと成功しないので、伝え漏れが起こらないよう注意しましょう。
5-4.実施
BPRを実施します。BPRは長期間での実施となるため、従業員のモチベーションを保つためにも、短期的な目標をいくつか設定しておくのがおすすめです。
リソースが逼迫してきた場合には、コンサルタントに手伝ってもらったり優先度が低い業務をアウトソーシングしたりするなどの対策を講じましょう。
5-5.モニタリング・評価
最後にこれまで実施してきたBPRの状況をモニタリング・評価していきます。
モニタリング・評価する際には、以下3つの項目にフォーカスして確認しましょう。
- 進捗具合は当初の予定通りか
- イレギュラーな事態や問題は発生していないか
- BPRを実施したことでどのように変わったのか
定期的に確認することで、成功期待度が高まります。
>>BPRの進め方とは?目的や手法・メリットについても解説!
6.コンサルタントを選ぶときのポイント
BPRを実施する上でコンサルタントを活用する場合、以下の3つのポイントを意識して選びましょう。
- 自分たちの予算に合っているか
- 実績があるか
- 綿密にコミュニケーションが取れるか
順番に解説します。
6-1.自分たちの予算に合っているか
コンサルティング会社の料金はピンキリです。サポート内容が同じでも、料金が全く異なるケースも珍しくありません。
そのため、まずは複数社より見積もりを取ってから比較検討しましょう。その後、自分たちの予算に近いコンサルティング会社を選ぶのがおすすめです。
6-2.実績があるか
コンサルタントを活用しても、BPRが100%成功するとは限りません。ただし、実績があるコンサルティング会社に依頼することで、成功確率は確実に高まります。
そのため、実績豊富なコンサルティング会社を選びましょう。実績はホームページに掲載されていることが多いので、一度確認してみるのがおすすめです。
ただし、実績を非公開にしているコンサルティング会社もあるので、気になる場合には一度問い合わせしてみましょう。
6-3.綿密にコミュニケーションが取れるか
BPRを成功させるためには、コンサルタントとの連携が重要です。連携をスムーズにするためには、コミュニケーションが欠かせません。
そのため、綿密にコミュニケーションが取れるかどうかもコンサルタントを選ぶ一つの目安にしましょう。
7.まとめ
本記事では、BPRを実施するにあたってコンサルタントを活用するメリットやデメリットを解説してきました。またBPRコンサルタントの活用に伴うBPRの進め方・コンサルタントを選ぶときのポイントなどについてもご紹介しました。
コンサルタントを活用することで、客観的な意見を取り入れられたり、効率的にBPRを実施できたりするなどのメリットがあります。
ただし、費用がかかったりBPRの知見が溜まらなかったりするなどのデメリットもあるので、注意が必要です。
メリットとデメリットを把握した上で、本記事を参考にコンサルタントの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
>>BPRにコンサルティングは必要?メリットやデメリットなどを解説!