テレワークは2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大後に急速に導入が進みました。2019年までは導入企業が約20%に対して、現在は50%を超えている状況です。
※出典:総務省「通信利用動向調査」
ネット環境が各所で整っている現代において単純にテレワークを導入することは難しくなく、従業員にとって出社や移動時間が圧縮でき、柔軟性のある働き方ができるため、大きなメリットといえます。企業にとっても経費が削減できるだけでなく、多様な人材の雇用につながるなど多くのメリットがあります。
一方で、緊急事態宣言により半ば強制的に導入に踏み切った企業も多数あり、企業側の課題も明確になってきました。こちらでは一般的になったテレワークについて以下の流れで総括したいと思います。
- テレワークの種類とメリットデメリット
- テレワーク導入前に整備が必要なシステム、環境、規定面のポイント
- テレワークで業務の効率、生産性を向上させるために企業が対応するべきこと
1-1. テレワークの種類
テレワークは、「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」の3つの形態の総称で、いずれの場合も所属するオフィスから離れて仕事を行います。
◇在宅勤務:
オフィスに出社しないで自宅で出勤する勤務形態です。顧客訪問や社内ミーティングなど会議はオンラインで行い、外出することがなく1日の業務を自宅で行います。
◇モバイルワーク:
移動中や顧客先、カフェなどを就業場所とする勤務形態です。
◇サテライトオフィス:
所属するオフィスではない他のオフィス(レンタルオフィス等)を就業場所とする勤務形態です。
1-2. テレワークのメリット
従業員にとっての直接的なメリットは出社、移動時間のカットできることです。満員電車など通勤のストレスの減少や、プライベートの時間増加が見込めるため、QOLの向上にもつながります。
企業にとっても移動に関するコストや設備や光熱費といった固定費が削減できるだけでなく、多様な人材の雇用や離職率の低下にもつながりやすく、また何よりも災害発生など緊急時のおける事業停止のリスクも抑えることができなど多くのメリットがあります。
1-3. テレワークのデメリット
従業員にとっては同僚など他の従業員との何気ない会話や挨拶が減りコミュニケーション不足に、また出社の移動がなくなり運動不足につながる可能性があります。さらにオフィスでは時間管理ができていても、在宅勤務では自己管理が必要なのでルーズになってしまうなど、オンオフの切り替えがしにくいこともデメリットといえます。
企業側にとってのデメリットはオフィス勤務よりも従業員の勤怠管理が難しくなることです。さらにプロジェクトやタスクの管理が行き届きにくくなることで、結果会社の全体パフォーマンスに影響を与えてしまう懸念があることです。
※こちらについては最後のパート「3.テレワークで業務の効率、生産性を向上させるためのポイント」で対策を解説します
2. テレワーク導入前に整備が必要なシステム・環境・規定面のポイント
ノートパソコンなど持ち出せるデバイスとインターネットがあればテレワークができますが、毎日の勤怠管理をはじめとする各種管理・事務手続きとったコーポレート周りやデータ・ファイルの管理とったシステム面での整備は企業側で必須になります。
「この手続き(作業)はオフィスに出社しないとできない、完結しない…」
といった項目がないように業務フローと現行のシステムを確認しましょう。
① 文書のペーパーレス化・電子化と印鑑の廃止
資料や文書を紙で保管していると、テレワークは進みません。また、社内で承認の押印が必要な場合、そのためだけに出社が必要になってしまいます。こういったものの電子化を進め、資料や文書はデータに、印鑑は電子印に切り替えることがポイントです。
② オンラインストレージやクラウドサービスの活用
各ファイルを従業員のパソコンのみに保存することはリスクがあるため、オンライン保存するための共通の場所を確保する必要があります。クラウドサービスの中でもさまざまなオンラインのストレージサービスが出ていますので、容量や機能など検討の上、自社に合ったサービスを利用しましょう。
③ コミュニケーションツールの導入
テレワークでは社内外ともに業務の連携や情報の共有、打ち合わせはオンラインで行うためチャットツールやメッセージアプリ、オンライン会議システムの導入が必須になります。使用人数やコスト、セキュリティ面、アクセスの良さなど考慮の上、最適なツールを選定しましょう。
④ セキュリティ対策とネットワーク環境の整備
テレワークはパソコンなど業務に利用する端末を自宅など社外に持ち出す必要があり盗難・紛失などのリスクが発生します。また、企業内のサーバーで管理しているデータについてはインターネットを経由してアクセスする必要があるため、テレワーク環境では情報漏洩やセキュリティ対策が重要になります。
セキュリティ対策はツール導入など環境面を整えても従業員がリスクを理解していなければ意味がありません。情報漏洩やファイルの不正利用などのリスクがあることを全従業員へ周知することも重要です。
⑤ 勤怠管理システムの導入
オフィスに出社しないとタイムカードが打刻できないシステムを利用している企業では、オンラインで打刻できる勤怠管理のシステムの導入が必要になります。テレワーク、フレックスなどさまざまな働き方に対応できる機能など自社の就業規則に合ったものを導入しましょう。
またシステムを導入しても、その記録が給与システムと連携していなければ、余計な手間やコストがかかってしまうため、自社で使用している給与システムと連携可能なものを選ぶこともポイントです。
⑥ 通信費の負担
意外と見過ごされやすいのは通信費の負担の取り決めです。インターネットの使用料や電気代、文具代、プリンターの紙代やインク代なども検討しましょう。
3. テレワークで業務の効率・生産性を向上させるためのポイント
環境やネットワーク面を整備してテレワークを導入まではできても、肝心の業務のパフォーマンスが落ちたら意味がありません。オフィスでは随時確認できていたプロジェクトやタスクの進捗管理がテレワーク中はコミュニケーションがとりにくくなるために難しくなり、対応漏れやスケジュールの遅延などが発生したり、それを発見するのが遅れてしまったりするリスクが高まります。
こういったリスクはちり積もって会社全体の生産性、効率性の低下を招くため、企業が対策を打つポイントをご紹介します。
プロジェクトやタスク進捗の管理ツールの導入
テレワークが要因で管理不足や連携不足の状態に陥り、結果業務効率や生産性の低下を招かないように、プロジェクトや細かなタスクといった作業状況などが記録できる管理ツールの導入もあわせて行いましょう。
TrelloやAsanaのようなタスク管理ツールは、タスクとタイムラインの特定、タスクの優先順位付け、進捗状況の把握に非常に役立ちます。Google DocsやSharePointのようなコラボレーションツールは、同僚間のコミュニケーションを効率化するのに役立ちます。
また、株式会社アドフレックス・コミュニケーションズが提供する生産性改善ツール「motto」は、業務のログをAIが自動で収集・分析し、採用人数の適正化、人事フィードバックへの活用など、組織の生産性改善に役立ちます。
4. まとめ
テレワークには多様な働き方の実現や時間やコストの削減など、多くのメリットがある一方で、導入の際に企業側はシステム面、環境面や各種規定の整備が重要になります。
また導入はしたものの、業務効率や生産性の低下といった会社の業績に影響するような問題は、自社に適したツールの導入することで解決できます。しっかりと対策をすることで、企業側、従業員側にとってもプラスになり、結果生産性や業務効率向上させることができますので準備を進めましょう。