BPMとBPRの3つの違いや実施するメリット・実施方法などについて解説!

働き方改革の推進や新型コロナウイルスなどの影響もあり、最近ではBPMやBPRというワードをよく耳にする機会が増えてきました。

しかし、どういう意味なのか、あまり理解していない担当者も少なくありません。

また、BPMとBPRはワードが一文字しか違わないので、具体的に何が異なるのか気になる担当者も多いはずです。

そこで本記事では、BPMとBPRの基本知識やそれぞれの意味の違い・実施方法などについて解説します。 BPMおよびBPRの知識をさらに深めたい担当者は、ぜひ最後までご覧ください。

1.BPMとは継続的な改善

BPMとは「Business Process Management」の略称であり、業務プロセスを可視化することによって業務の問題点を発見し、継続的に改善していく施策です。

企業によっては、異動や退職などによって頻繁に担当者が入れ替われることがあるため、業務内容や業務フローの共有がしっかりとされておらず、複雑化してしまうことも珍しくありません。

しかし、BPMを実施することによって業務の標準化や業務クオリティの向上などが期待できます。

2.BPRとは業務改革

BPRとは「Business Process Re-engineering」の略称で、これまでの業務プロセス全体を根本的に見直して構築することです。

業務改革とも呼ばれており、1990年代に元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマー氏と、経営コンサルタントのジェイムス・チャンピー氏が不況から脱却するための施策として提唱されました。

その後、1993年に「リエンジニアリング革命」が出版されたことで、当時の日本でも大きな話題となりました。

BPRは大規模な施策となるため時間がかかりますが、業務の効率化やコストの削減などが期待できます。

3.BPMとBPRの大きな3つの違い

BPMとBPRは一文字しか違わないので、同じ意味だと勘違いしている担当者も少なくありません。

大きな違いとして以下の3つが挙げられます。

  • 対象となる改善範囲
  • 改善方針や手法     
  • 実施する期間や回数

一つずつ解説します。

3-1.対象となる改善範囲

BPMの場合、業務プロセスを改善するといっても、あくまで部分的です。

一方のBPRは、業務内容や業務フロー・組織の構造など、業務プロセス全体をまとめて改善していきます。

BPMよりもBPRは、対象とする改善範囲が広いのが特徴です。

3-2.改善方針や手法

BPMの場合、現場の従業員をメインに業務内容や実施計画などを立てていくボトムアップ方式です。

一方のBPRでは、上層部を中心にBPRを実施する目的や対象とする範囲などを決めていくトップダウン方式となるため、改善方針や手法も大きく異なります。

3-3.実施する期間や回数

BPMの場合、PDCAを継続的に回して改善する施策です。

一方のBPRは、BPM同様に長期の施策ではありますが、業務フローなどを根本から見直すため、組織再編などに多くのリソースが発生します。

そのため、業務運営に支障をきたさないためにも基本的に一回限りの施策です。

またBPRは、新たなサービスやシステム・組織の構造に総入れ替えをする大規模な施策となるので、BPMと比較してさまざまなコストがかかります。

4.BPMとBPRが重要視されている理由

BPMとBPRが重要視されている理由として、働き方改革やグローバル化・労働人口の減少などが挙げられます。

近年では働き方改革が推進されて、従業員の労働時間が見直されるようになりました。

また、少子高齢化による労働人口不足によって、外国人の雇用を積極的に増やす企業も増えてきています。

その結果、同様の成果をすべての従業員が発揮できるようにするため業務の標準化や、効率化が求められるというわけです。

このような理由から、多くの企業がBPRやBPMの実施を検討するようになりました。

また、2020年には新型コロナウイルス感染症の影響によって、各国で甚大な経済打撃を受けています。

現在も感染が拡大しているので、新たな時代の変革に対応するためにも、業務プロセス全体を根本的に見直して再構築するBPRが重要視されるようになってきているのです。

5.BPMを実施する4つのメリット

BPMを実施するメリットは、以下の4つです。

  • 従業員同士による団結力が深まる
  • 業務フローや業務内容などの修正や変更が容易となる
  • 業務クオリティの向上につながる
  • 属人化が改善される

一つずつ解説します。

5-1.従業員同士による団結力が深まる

BPMは、上層部を中心とするトップダウン方式ではなく、現場の従業員がメインとなって実施するボトムアップ方式です。

既存の業務内容や業務フローなどを改善するために、従業員同士が話し合って改善点を見つけていくことで、これまで以上に団結力が深まります。

5-2.業務フローや業務内容などの修正や変更が容易となる

業界によっては、新たな情報が日々アップデートされていくため、これまでの業務フローや業務内容が急に通用しなくなるなんてことも珍しくありません。

その結果、急激な変化に対応できず、業績がいきなり悪化してしまう企業もあります。

BPMを実施することで、業務プロセスの改善を継続的に行うので、業務フローや業務内容などの修正や変更も容易となり、柔軟な対応が可能となるのです。

5-3.業務クオリティの向上につなが

BPMは、業務プロセスを可視化し、ボトルネックを発見・改善します。

また、継続的にPDCAを回していくので、業務の生産性はもちろん、業務クオリティの向上にもつながるのです。

5-4.属人化が改善される

業務の仕組み化ができておらず、属人化に悩まされている企業も少なくありません。

属人化とは、特定の従業員でないと業務の進め方や詳細な業務内容が分からなくなってしまうことです。

属人化を放置してしまうと、従業員によって業務クオリティに差が出てしまったり特定の従業員が休んでしまうと、業務がストップしたりするなどのリスクがあります。

しかし、BPMを実施することで指示書や手順書などを作成し、誰でもできるような仕組みが可能となるため、属人化の改善が期待できます。

6.BPRを実施する3つのメリット

BPRを実施するメリットは以下の3つです。

  • 業務を効率化できる
  • あらゆるコストの削減につながる
  • 従業員満足度の向上に期待ができる

順番に解説します。

6-1.業務を効率化できる

BPRを実施することで、業務内容や業務フローなどの業務プロセス全体を根本的に見直して再構築します。

その結果、ボトルネックが見つかるはずです。

BPRの実施に伴い、アウトソーシングやBPOなどのあらゆる手法によって改善することで、業務の効率化につながります。

6-2.あらゆるコストの削減につながる

BPRでは、最新のシステムやサービスを導入することも珍しくありません。

もちろん、導入費用やランニングコストなどはかかりますが、その分の不要な業務を自動化したり削減したりできます。

そのため、トータルで考えるとコストの削減につながるのです。

6-3.従業員満足度の向上に期待ができる

BPRの実施に伴い、システムやサービスを導入することで生産性が向上し、労働時間が短縮されます。

また、リモートワークのような働き方も実現可能となるため、これまで以上に働きやすくなり、従業員満足度の向上に期待ができるのです。

7.BPMやBPRを実施するデメリット

BPMやBPRを実施する上で共通するデメリットは以下の2つです。

  • 従業員の負担が大きい
  • コストがかかる

順番に解説します。

7-1.従業員の負担が大きい

BPMやBPRを実施する上で、従業員の協力は必要不可欠です。

従業員は通常の業務に加えてBPMやBPRの実施に協力しなければいけないので、負担が大きくなってしまい、会社に不満を募らせてしまうことにもつながります。

従業員との間にあつれきを生じさせないためにも、実施する目的や内容などをしっかりと伝えて、理解してもらうことが大切です。

7-2.コストがかかる

BPMとBPRは、どちらも時間がかかる施策です。

また、BPRは既存のシステムやサービスを一新する場合、これまでのデータを移行したり新たに操作方法を覚えたりする必要もあります。

人的コストはもちろん、導入する際の初期費用やランニング費用などもかかるので、注意しましょう。

8.BPMを実施するための5つのステップ

BPMは、以下の5ステップで実施することが可能です。

  1. 業務プロセスを可視化
  2. 業務を実施
  3. 業務プロセスの分析
  4. 業務プロセスを改善
  5. PDCAを回す

順番に解説します。

8-1.業務プロセスを可視化

自分たちの現状を分析してボトルネックを洗い出すために、まずは業務プロセスを可視化します。

可視化するための方法として、図や表を用いるのが一般的です。

Excelを用いて自分たちで作成することもできますが時間がかかるので、ツールやサービスなどを活用してみましょう。

8-2.業務を実施

ボトルネックを再認識して改善策を見つけ出すために、これまでの業務フロー通りに業務を実施してみます。

そのため、現段階では業務の改善について意識する必要はありません。

8-3.業務プロセスの分析

実施した業務結果を基に、以下の内容に当てはめて業務プロセスを分析していきます。

  • ミスやエラーなどが同じ箇所で発生していないか
  • 業務によって時間の変動が大きくないか
  • 担当者で円滑にコミュニケーションが図れているか
  • 一連の流れにおいて不要な業務はないか
  • 並行できる業務はないか

主観的ではなく、客観的に捉えることがポイントです。

8-4.業務プロセスを改善

分析した結果から、実際に業務プロセスを改善していきます。

システムやサービなども積極的に活用していきましょう。

業務プロセスの改善方法は豊富にあるので、自分たちに合った方法で改善することが大切です。

8-5.PDCAを回す

最適化した業務プロセスに沿って何回か業務を実施していきます。

業務を実施していくと、新たな課題が見つかるはずなので、再び分析と改善を行います。

継続的にPDCAを回すことで、最終的には自分たちに適した業務プロセスとなるはずです。

9.BPR を実施するための5つのステップ

BPRもBPM同様に以下の5ステップで実施できます。

1. 検討:BPRを実施する目的や目標・対象となる業務範囲などを上層部が中心に設定する

2. 分析:分析ツールや手法などを用いて自分たちの課題点を洗い出し、改善方法を検討する


3. 設計:分析段階で洗い出した課題点を改善するための戦略を立てていき、必要に応じてBPOやアウトソーシングの活用を検討する


4. 実施:BPRは時間がかかるため、従業員のモチベーションを保つためにも、細かい目標をいくつも設定しておく


5. モニタリング・評価:実施したBPRの内容を参考にしながら、進捗具合や実施していくなかでの問題点・実施したことで得られた効果などをモニタリング・評価していく

さらに詳しい内容が知りたい場合には、以下の記事をご覧ください。

10.BPMを実施するにあたっての4つのポイント

BPMを実施する場合には、以下の4のポイントを意識しましょう。

  • 緊急性の高い順から実施していく
  • BPMを実施する目的を明確にする
  • 継続的に取り組む
  • 最初から完璧を求めない

順番に解説します。

10-1.緊急性の高い順から実施していく

緊急性の高い順からBPMを実施していくことによって、効率的に業務プロセスの改善へとつながります。

そのため、BPMを実施する際にはあらかじめ優先順位をつけておきましょう。

10-2.BPMを実施する目的や目標を明確にする

BPMを実施する際には、目的や目標を明確にしましょう。

目的や目標が明確でなければ、実施した後にどのような効果が表れたのか把握できなくなるからです。

BPMが成功しているかどうかを判断するためにも、なるべく数値化して具体的な目的や目標にすることが重要です。

10-3.継続的に取り組む

BPMは、一回実施しただけで効果が得られるような施策ではありません。

BPMを成功させるためには、継続的に取り組むことが前提条件となっています。

そのため、自分たちに最適な業務プロセスとなるまでPDCAを回しましょう。

10-4.最初から完璧を求めない

BPMを実施する上で最初から完璧を求めすぎてしまうと、理想と現実との間にギャップが生まれてしまい、途中で挫折してしまう可能性があります。

BPMは、何度も繰り返し改善していくことで最適な業務プロセスへと近づける施策です。

そのため、失敗してあたりまえという気持ちでBPMを実施しましょう。

11.BPRを実施するにあたっての3つのポイント

一方、BPRを実施するにあたってのポイントは、以下の3つです。

  • 予算を確保しておく
  • 知識がなければコンサルタントを活用する
  • ツールや手法についての理解を深めておく

一つずつ解説します。

11-1.予算を確保しておく

BPRの実施に伴い、新たなシステムやサービスの導入を検討する企業がほとんどです。

新たなシステムやサービスを導入することで、初期費用やランニングコストがかかります。

実際にかかるコストのことを考えずにBPRを実施してしまうと、途中で資金が枯渇してしまい、これまで実施した内容がすべて無駄になってしまう可能性があります。BPRを完遂させるためにも、実施に伴う予算を必ず確保しておきましょう。

11-2.知識がなければコンサルタントを活用する

BPRは、専門的な知識がなくても実施することは可能です。

ただし、途中で判断を誤ってしまったり想像以上に時間がかかってしまったりする可能性があります。

そのため、自分たちで実施するのが困難だと感じたら、コンサルタントを活用しましょう。

コンサルタントは、BPRに関するスキルやノウハウを豊富に兼ね備えているので、効率的に実施できます。

成功確率も大幅に向上するので、おすすめです。

11-3.ツールや手法についての理解を深めておく

BPRを効率的に実施するためのツールや手法なども数多くあります。

しかし、自分たちに適したツールや手法を選ばないと、逆に効率が悪くなる可能性があるので、十分に理解を深めた上で選びましょう。

12.まとめ

本記事では、BPMとBPRの基本知識やそれぞれの意味の違い・実施方法などについて解説しました。

BPMとBPRは一文字しか違いませんが、意味は大きく異なります。

どちらも企業にとって重要な施策となるため、本記事を参考に実施を検討してみてください。

記事を書いた人
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