コロナ禍ということもあり、企業では働き方改革や業務改革が進んでいます。働き方改革や業務改革をする上で最近注目を浴びているのがBPRです。
名前は聞いたことがあっても、具体的にどのような方法で実施するのか分からない担当者も多いはずです。
そこで本記事では、初めてBPRを実施する担当者に向けて、BPRの進め方や実施する際のポイント・業務改善との違いなどについて解説します。
1.BPRとは?
BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)とは: 自社の業務内容やフロー、組織の体制などを根本的に見直して再設計すること。 |
再設計することで、業務の効率化や業務改善に期待できます。最近では、新型コロナウイルス感染症によって多くの企業に影響がありました。
そのため、大企業であっても、いつ倒産してしまうのかも分からないような状況です。決して現在の日本は景気がいいとはいえないため、時代の流れに柔軟に対応するためにも、BPRを実施する企業が増えてきています。
2.BPRの目的
BPRの目的は、以下の2つです。
・既存のビジネスフローの再構築 ・根本的な見直しを通して企業価値を上げる |
順番に見ていきましょう。
2-1.既存のビジネスフローの再構築
社会情勢の変化によって、ビジネスフローも変わってきています。
以前までは対面で顧客と商談するのがあたりまえでしたが、現在ではオンラインで商談する機会が増えてきました。
時代の流れに柔軟に対応していくためにも、既存のビジネスフローを再構築する目的としてBPRを実施します。
2-2.根本的な見直しを通して企業価値を上げる
BPRを実施することで、生産性の向上やコストの削減に期待ができます。
生産性が向上することで業務時間が削減されるため、従業員の満足度が向上します。
また、コストが下がった分、商品やサービスの品質の向上に注力できるので、顧客満足度を高めることができるのです。
BPRの実施により根本的な見直しに成功した結果、企業価値の向上につながります。
3.BPRを実施する際に重要な4つのキーワード
BPRを実施する際には、以下の4つのキーワードを意識しましょう。
・根本的 ・抜本的 ・劇的 ・プロセス |
一つずつ解説します。
3-1.根本的
BPRにおける「根本的」とは、業務内容や業務フローにおいて、「なぜそれを実施しているのか」問いかけることが重要です。
目的や意味が分からないまま実施しても改善することはありません。
「現在行っている業務はなぜ必要なのか」「現在の企業組織にはどのような意図や意味があるのか」など、一つずつ見直していくことが重要です。
3-2.抜本的
「抜本的」とは、古くなってしまった要素を選定して切り捨てることを指します。
業務において、古くからの慣習を今でも欠かさず続けている企業も少なくありません。
しかし、それらの慣習が本当に必要なのかどうかを客観的に見つめ直しましょう。
3-3.劇的
「劇的」とは、大きく改善するという意味です。
BPRは、これまでの組織体制や業務フローなどを一新することで、業務の効率化や業務改善を図ります。
そのため、成果を挙げたいのであれば、大きな変化をもたらす意識が大切です。
3-4.プロセス
「プロセス」とは、いくつかの要素を取り込むことで、顧客に企業価値を与えられるように、アウトプットを伴う行動のことを指します。
4.BPRと業務改善の違い
BPRと似ている言葉として挙げられるのが業務改善です。
それぞれの言葉の意味は以下の通りです。
・BPR:組織の構造や業務フロー、人員など企業におけるすべての部分を再構築 ・業務改善:あくまでもプロセスを残した状態で業務を部分的に改善 |
BPRは、組織の構造から業務フロー・人員の選定まで、企業そのものを見直し再構築していきます。
一方の業務改善は、あくまでも業務内容や業務フローなど、プロセスを残した状態で改善することです。
対象となる範囲が大きく異なるので、言葉の意味を履き違えないように注意しましょう。
5.BPRを実施する2つのメリット
BPRを実施するメリットは、以下の2つです。
・業務フローを把握できる ・企業価値が向上する |
一つずつ解説します。
5-1.業務フローを把握できる
BPRでは、業務改革のために業務フローを一度細分化します。
細分化することで、改めて業務フローが把握できるようになり、現在のビジネスプロセスにおける弱点を発見することにもつながるのです。
5-2.企業価値が向上する
BPRを実施することで、根本的な業務改革が行われます。
コストの削減や業務の効率化によって、従業員や顧客の満足度が向上し、企業価値の向上にも期待できるのです。
6.BPRを進める5つのステップ
BPRは、以下の5つのステップで進めることが可能です。
1.検討 2.分析 3.設計 4.実施 5.モニタリング・評価 |
順番に解説します。
6-1.検討
BPRを実施するにあたって、どのような目的や目標を定めるのか検討します。
従業員によって認識の相違が起きないよう、具体的な目的や目標にしましょう。
また、BPRの対象となる業務もこの段階で決めていきます。
6-2.分析
実際に分析手法を活用しながら、ビジネスプロセスを見直していきます。
おすすめの分析手法は以下の2つです。
・ABC分析:さまざまな指標から重要なポイントを導き出して優先度を決める分析手法 ・BSC分析:戦略目標を評価してKGIやKPIに結びつけるためのフレームワーク |
6-3.設計
分析したデータや情報を基に、ビジネスプロセスを再設計します。
ツールを活用しつつ、効果がありそうなものから優先してビジネスプロセスを再構築していきましょう。
6-4.実施
設計まで終了したら、事前準備は完了です。
BPRは大規模な改善となるため、目的を達成するまで時間がかかります。
長期間にわたるので、途中で目的を見失わないようにするためにも、中間目標の設定や逐一進捗状況を確認しましょう。
6-5.モニタリング・評価
BPRの実施後、効果測定するためにモニタリングや評価を行います。
モニタリングや評価でチェックするべきポイントは、以下の3つです。
・設計したビジネスプロセスが機能しているか ・問題が発生した場合の対処はできているか ・従来のビジネスプロセスと比較して変化はあったか |
7.BPRの手法
BPRを実施する上での代表的な手法は以下の3つです。
・業務分析による優先度の決定 ・アウトソーシング ・シェアードサービス |
順番に解説します。
7-1.業務分析による優先度の決定
業務分析することで、一つひとつの業務に優先度を決めていきます。
優先度が高い業務であれば現状維持で問題ありませんが、優先度が低い業務の場合、改善することによって業務の効率化が図れます。
7-2.アウトソーシング
業務の優先度が低い場合には、アウトソーシングするのもおすすめです。
アウトソーシングすることによって、担当者の高度な判断が必要な「コア業務」に注力できます。
アウトソーシングを依頼するためには費用がかかりますが、トータルで考えるとコストの削減に期待できます。
7-3.シェアードサービス
BPRでは、シェアードサービスも代表的な手法として用いられます。
シェアードサービスとは、似ている内容の業務を一つに集約することです。
シェアードサービスを行うことで、業務が一元管理できるため、セキュリティ対策の強化や人的リソースの有効活用につながります。
8.まとめ
本記事では、BPRの進め方や実施する際のポイント・業務改善との違いなどについて解説しました。
BPRを実施することで、業務の効率化や企業価値の向上に期待できます。 ただし、BPRを成功させるためには進め方を把握する必要があるので、BPRの実施を検討している担当者は、本記事を参考にしてみましょう。